Big Dipper

人生は長い航海のようなもの。穏やかに・幸せに過ごすためのtipsを綴る。

“大臣にお仕えする”という言葉

 少し違和感を感じていることがある。それは、省庁などでしばしば耳にする「〇〇大臣にお仕えする」という言葉である。私はこのような現場で働いた経験がないので、発言者の意図するところ、感覚が分からない。しかし、もし〇〇大臣のために仕事をしているという感覚なのであれば、やはりおかしいと思うのである。

 一般企業であれば、大抵、仕事はお客様のためにするものではないかと思う。たとえ自分の仕事が、お客様の手に渡るためにその後多くの行程を踏むにしても、最終的にはお客様につながっている。ここで言うお客様とは、取引先や市場の一般市民を想定している。あるいは総務や人事など事務系の仕事であれば、自社の社員のために社内制度を整える等、狭い意味では社員がお客様とも考えられるかもしれない(但し広い意味で捉えると、それらを整えることによって自社の生産性を上げることにつながり、それは例えば製品の価格等に反映されるのであって、やはりお客様は社外にあるのだと思う)。

 ○○大臣は発言者の上司である。発言者が上司のために仕事しているとすると、何だかおかしなことにならないだろうか。上司がよしとすることを粛々と進めていくイメージである。「お仕えする」というからには、上からの命令を責任を持って全うするイメージだ。これも勝手なイメージだが、鎌倉幕府の“御恩と奉公”のような主従関係を想像してしまう。もちろん、省庁の方々は一人ひとりがお客様(国民)のことを考えて仕事してくれているはずである。しかし、言葉の持つイメージは大きい。言葉がひとり歩きすることもある。使っているうちに自分の意識も間違った道へ進んでしまうこともあるのではないだろうか。

 さて私たち国民はお客様なのだろうか。今後の日本はどうなっていくのだろうか。